旅三昧&ときどき読書+映画

私は小泉牧夫。英語表現研究家という肩書で『世にもおもしろい英語』『アダムのリンゴ 歴史から生まれた世にもおもしろい英語』(IBCパブリッシング刊)という本を書いています。2018年4月に 出版社を退職し、41年にわたる編集者生活を終えました。いま世界中を旅しながら、本や雑誌記事の執筆とともに、旅先ではこのブログを書いています。お金はありませんが、時間だけはたっぷりある贅沢な旅と執筆と読書と映画の日々を綴っていきたいと思います。

旅三昧&ときどき読書+映画

私は小泉牧夫。英語表現研究家という肩書で『世にもおもしろい英語』『アダムのリンゴ 歴史から生まれた世にもおもしろい英語」(IBCパブリッシング刊)という本を書いています。2018年4月に出版社を退職し、41年にわたる編集者生活を終えます。それからは世界中を旅しながら、本や雑誌記事の執筆をする予定。お金はありませんが、時間だけはたっぷりある贅沢な旅と執筆と読書と映画の日々を綴っていきたいと思います。

ここはどこ? 私はだーれ?

朝6時、ホテルのシャトルに乗ってロナルド・レーガン空港へ。8時45分発の国内線の飛行機だったが、チェックインや荷物検査にとんでもなく時間がかかることがたまにあるので、早く行くにこしたことはない。英語にはToo early is better that too late.(だったかな?)「遅すぎるより早すぎる方がいい」という諺がある。空港に近づくと、ドライバーがWhat terminal?と聞く。私の前に座っていた男性がAmerican.と応える。私もMe, too. Maybe, terminal ”C."「私もです。恐らくターミナルCです」と付け加えた。成田なら第1と第2だけだが、アメリカの広い空港だと、ターミナルがどこかわかっていないと大変なことになる。わからない場合は航空会社の名前を言えばいいが、念のためにdomestic「国内線」なのかinternational「国際線」か言う必要がある。ターミナルが違う場合があるからだ。例えばアトランタの空港ではinternational「国際線」だけ離れた場所にある。

財布の中を見たら20ドル札が数枚と5ドル札が2枚きりで、1ドル札がない。チップで5ドルはちょっと高い。ターミナルCに着いた。ドライバーが大きなスーツケースを降ろしてくれた。私の前に座っていた男性はチップを渡している。私はスーツケースを受け取って、そのままその場を立ち去ろうとしていたが、ドライバーがHave a nice flight.と握手を求めてきたので、仕方なしに5ドル札を渡す。また無駄な金を使ってしまった。絶対に1ドル札を何枚か財布に入れておかなければいけない。そんなことは何度も経験していて十分わかっているはずなのに・・・。

自動チェックイン機で手続き。乗り換えがあるので2枚の搭乗券、そして荷物に付けるタグが1枚出てくる。そのタグをスーツケースにつけて重さを計ってもらう。18キロ、追加料金なしだ。預け荷物を検査する機械に通してもらい、搭乗口に行こうとしたら、私の直前にすでにスーツケースを検査機に通してしまった日本人があわてて引き返してきて、係員に何か言っている。スーツケースから何か取り出したいらしい。係員は「もうダメだ」と言って拒絶している。あまり他人ごとに口を突っ込むのも、興味を示すのも嫌なので、その場を立ち去る。

もし国際線で、パスポートを預け荷物の中に入れてしまったら大変なことになる。あるツアーコンダクターから聞いた昔の話だが、成田空港でパスポートをスーツケースの中に入れて預けてしまった人が1人いたために、乗客全員の荷物をもう一度全て飛行機から降ろさねばならず大混乱になったことがあったと言う。でも搭乗手続きの流れ上、そんなことが果たして起こり得るのだろうか? 

今日はまずシャルロットに行って、そこで飛行機を乗り代えてフロリダの娘が住む小さな町まで飛ぶ予定なのだが、飛行機に乗り込み座席についてから、ふと「ところでシャルロットってどこ?」と思った。「ここはどこ? 私はだーれ?」状態。別に乗り換えだけだから、どこであろうといいのだが、「地図が読める男」としては凄く気になる。ゲートの電光掲示板では、確かシャルロットの後にNCと表示されていた。何州だろうか? NだからNewなんとかかな? いろいろ考えるが該当する州がない。しばらく考えてNorth Carolinaという州が思い浮かんだ。でも、それってどこ?

もうひとつ思ったのが時差があるのか?ということだ。時差によっては、次の飛行機のターミナルまで大急ぎで行かなくてはならない。いつかアトランタで乗り代えてニューオーリンズまで行ったことがある。ホテルに着いて、アトランタの空港で現地時間に合わせた時計を見ると午後10時だったのだが、まだそれほど夜が深まっていないようなロビーの賑やかさだったので違和感を覚え、TVで時間を確認すると9時だった。ニューオーリンズアトランタより1時間が遅かったのだ。そんなこともあり、特に飛行機を乗り継ぐ場合には時差を頭に入れておく必要がある。今はスマホで自動的に時間が変わるからいいのだが、以前のように自分で時計を現地時間に合わせなければいけなかった時代には時差を考えないと大変なことになった。

シャルロットでは時差がなく、無事に乗り代えができて、午後1時半にフロリダの娘が住む町に到着する。こんな小さな田舎町にも飛行場があることにいつもながら驚く。小さな空港ビルの外に出ると空気が爽やかで心地良い。

この町自体は小さいが、大きな大学がある。住んでいる日本人は長期研修や研究・留学などで、日本の大学病院から派遣されている医師が多い。3月で今年度ももうすぐ終わり、何家族かが帰国するということで、夜その1人の家でお別れパーティがあると言う。私も特別に参加させてもらうことになった。娘も孫たちも皆さんにはとても世話になったと言う。娘もハンバーグを焼いて持って行く。みんなで飲み物や食べ物を持ち寄るBOB(Bring your Own Bottle)とかBOF(Bring your Own Food)というパーティだ。

子供たちは子供たちで転げ回って遊び、お母さん方(医師や研究者もいる)はいろいろな情報や滞在中のエピソードの交換をしている。ご主人のお医者さんたちの話もとてもおもしろかった。アメリカだと手術をしてから、ある一定の時間を置かないと次の手術をしてはいけないという決まりがきちんと守られているのだが、日本ではなかなか・・・という話だ。

ふと百田直樹の『永遠のゼロ』を思い出してしまった。第二次大戦中、日本のゼロ戦の操縦士は出撃しクタクタになって戻ってきても、また翌日すぐに戦いに飛び立つということを来る日も来る日も繰り返していた。しかし、アメリカ軍のパイロットは一度出撃すると、2~3日、場合によっては1週間もの休暇をもらえたと言うのだ。

今もその体質の違いは変わっていない。日本では全体のシステムがうまく機能することを考えずに、ひとりひとりの努力と根性頼みで物事を進めることでどうにか成り立っている。だから過労死が問題となる。「働き方改革」の前にその体質を変えないといけない。

TVで池上彰さんが「エグゼクティブはアメリカ人が優秀、スタッフは日本人が優秀と言われます」と言っていた。私も多くのアメリカの出版社を訪ねたが、エグゼクティブたちは社員ひとりひとりがどんな仕事をしているか、そこにどんな問題があるのかを本当によく把握していた。そして全体の仕事をスムーズに前進させるために一人一人の仕事をどのように組み合わせていったらいいのか、本当に真剣に考えている人が多かった。