旅三昧&ときどき読書+映画

私は小泉牧夫。英語表現研究家という肩書で『世にもおもしろい英語』『アダムのリンゴ 歴史から生まれた世にもおもしろい英語』(IBCパブリッシング刊)という本を書いています。2018年4月に 出版社を退職し、41年にわたる編集者生活を終えました。いま世界中を旅しながら、本や雑誌記事の執筆とともに、旅先ではこのブログを書いています。お金はありませんが、時間だけはたっぷりある贅沢な旅と執筆と読書と映画の日々を綴っていきたいと思います。

旅三昧&ときどき読書+映画

私は小泉牧夫。英語表現研究家という肩書で『世にもおもしろい英語』『アダムのリンゴ 歴史から生まれた世にもおもしろい英語」(IBCパブリッシング刊)という本を書いています。2018年4月に出版社を退職し、41年にわたる編集者生活を終えます。それからは世界中を旅しながら、本や雑誌記事の執筆をする予定。お金はありませんが、時間だけはたっぷりある贅沢な旅と執筆と読書と映画の日々を綴っていきたいと思います。

What are you doing here?は「なんばしよっと!」

私には孫が2人いる。2人とも男の子で日本人とアメリカ人のハーフ、もちろんバイリンガルだ。上の孫は5歳、レゴで遊ぶのが好きで何百ピースも使ってすごく大きなロボットをつくったりして、私にはない器用さをもっている。算数も得意で、習ったわけではないのに足し算ができるようになった。「大きくなったら何になりたいの?」と聞いたら、「エンジニア」と言っていた。母親(私の娘)によると「お医者さん」と応えることもあるそうだ。

下の孫は3歳で恐竜が大好き。恐竜事典を見て全ての恐竜の名前を覚えてしまい、この町に住む日本人の人たちからはDr. Dinosaur「恐竜博士」と呼ばれている。もちろん「大きくなったら恐竜になりたい」と言う。地図も好きで、州ごとに色分けされているアメリカの地図を見て、例えば「ペンシルバニアはどこ?」「ニューメキシコは?」とか聞くと、指を差すのだが、全部正解。私はきっともう字が読めるんだろうと言ったのだが、まだ字は教えていないと言う。アメリカの州を嵌め合わせるジグソーパズルを毎日やっているうちにわかるようになったのだと言う。

あまり自慢すると「爺バカ」になるのでもうやめるが、土曜日に町のダウンタウンにお昼を食べに行って、小さなレストランに入ると下の孫の親友がいた。ライアンという、同じプレスクール(幼稚園の前に入る託児所とでもいえばいいのか?)の同じ組の男の子だという。孫は大きな声で、Hi, Ryan! What are you doing here?と言った。まるで大人の挨拶、大人の会話だ。

私自身がこのWhat are you doing here?という表現を覚えたのは、50歳になるかならないかの頃だった。私は出版社で海外担当をしていて、毎年のように夏にはアメリカの、秋にはドイツ・フランクフルトのブックフェアに参加していた。アメリカのフェアの初日にNYの出版社の女性編集者と会った時、彼女はHello!と言った後、What are you doing here?と私に聞いたのだった。直訳すれば「あなたはここで何をしているのか?」という意味だ。何をしてるってブックフェアに参加して、これから(日本から見れば)海外の出版社と商談をするに決まってるじゃないか。半年前にもフランクフルトで会っただろう。なぜわかり切ったことを聞くんだろうと不思議に思い、Why?と尋ねると、Oh, it’s the common greeting.「ああ、これは普通の挨拶なのよ」と言ったのだった。

もちろん、会うとは全く予想もしていない場所で偶然会った時の挨拶なのだが、久しぶりに会った人に親しみを込めて使うユーモラスな表現でもあったのだ。日本語でも何か同じような表現があったなあと思い、しばし考えてみたら、九州の人がよく使う「なんばしよっと」に似ているような気がした。

日曜日には孫2人を近くの公園に連れていった。ジャングルジムに滑り台がついているような遊具で他の子供たちと遊んでいるのベンチに座って見ていると、下の孫が来て日本語で「おじいちゃん、あの子が僕のことモンスターと言った」と言う。monsterという英語がどの程度強い侮辱の表現なのかわからなかったが、孫はすぐその30㎝も身長の高い男の子のところに走って行き、面と向かって何か抗議している。何かあったらすぐ飛んでいこう思って見守っていると、その男の子が自分と他の子供たちを指さしながらI'm a monster. He is a monster. She is a monster too.と言っている。想像するに「僕はモンスターなんだ。あの子も、この子も、みんなモンスターって僕は呼んでるんだ」とでも言っているようだった。「君だけじゃないよ」と。

この下の孫はすごく優しくて敏感な感受性を持っている。プレスクールの初日、自分も泣きたいのをじっと我慢して、先に泣き出した女の子にThat's OK, that’s OK.と言いながら背中をさすってあげて、自分のお弁当のブドウをあげたのだと言う。ちょっと日本人の子供には考えられない行動だ。

娘の夫の両親は先ほど帰っていったが、英語でいろいろ会話ができて楽しかった。日本では英語を話すチャンスなんてほとんどないし・・・。一昨日の夜のことだが、お母さんがサツマイモをオーブンでふかしてくれ、university sweet potatoを食べるかと聞く。え? 「大学芋」? 英語でもそう言うのかと思って驚いていたら、娘の夫が「日本ではuniversity sweet potatoと言うんだ」と教えてくれたのだと言う。でも、何で「大学芋」って言うんだろう?

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娘の家の周囲は広々とした住宅地