旅三昧&ときどき読書+映画

私は小泉牧夫。英語表現研究家という肩書で『世にもおもしろい英語』『アダムのリンゴ 歴史から生まれた世にもおもしろい英語』(IBCパブリッシング刊)という本を書いています。2018年4月に 出版社を退職し、41年にわたる編集者生活を終えます。それからは世界中を旅しながら、本や雑誌記事の執筆をする予定。お金はありませんが、時間だけはたっぷりある贅沢な旅と執筆と読書と映画の日々を綴っていきたいと思います。

旅三昧&ときどき読書+映画

私は小泉牧夫。英語表現研究家という肩書で『世にもおもしろい英語』『アダムのリンゴ 歴史から生まれた世にもおもしろい英語」(IBCパブリッシング刊)という本を書いています。2018年4月に出版社を退職し、41年にわたる編集者生活を終えます。それからは世界中を旅しながら、本や雑誌記事の執筆をする予定。お金はありませんが、時間だけはたっぷりある贅沢な旅と執筆と読書と映画の日々を綴っていきたいと思います。

今日は「正装の日」

クルーズ3日目、WiFiのことが解決し、スーツケースの車輪の一件も書類を提出したし、念願だった洗濯もできた。フォートローダデールのモーテルで洗濯しようと思ったのだが、部屋のタオルやシーツを洗うのと同じ洗濯機だったので船に乗るまで待つことにしたのだった。どうも日本人は(私は?)神経質で困る。やっと今日からリラックスして船旅を楽しめそうだ。

今日も15階のビュッフェで朝食を食べる。昨日はあちこち走り回っていたので、ゆっくり海を眺めるのは初め。紫色に近い深い青、これが群青色と言うのだろうか? こんな海の色は初めて見た。何か太平洋の海とは色が違うような気がする。

上品なおばあさんが「テーブルをシェアしてもいいかしら?」と言って前の席に座る。10年前にご主人を亡くされて、いまは1人でこんな風に旅行をしていると言う。ファストネームはIngrid。私が「イングリッド・バークマンと同じですね」と言うと、「そう言った人はあなたが初めてよ」と喜んでくれた。

私が「妻はいま日本にいます。一緒にクルージングをしようと言ったのですが、あまり魅力を感じないって、退屈だって言って来なかったんです。でも退屈どころではなく、とてもエキサイティングですよね」と説明すると、「ああ、だから1人なのね。でも夫婦2人で旅行すると共通の思い出ができるから良いと思うわ。私は今でも主人と一緒に旅行した時のことを本当に良く思い出すの」としみじみと話してくれた

部屋に戻ってベッドに横になって、TVでこの船の情報を見る。いまどこを航行しているか緯度と経度が表示され、地図上でも一見してわかるようになっている。画面の下の方に表示されている日付と時間を見たら、「4512時」になっていた。日本の時間と同じになっている(本当は12時間違い)。おかしいさっき朝食を食べたばかりではないか? もうお昼? 私の腕時計はもちろんiPhone11時になっている。少なくともiPhoneGBSにより、その場所の正確な時間が表示されるはずだ。iPhoneTVの時間の表示が違うという経験は初めてだ。どこと同じタイムゾーンなのだろうか思い、iPhoneで地名を探してみるがよくわからない。とにかくアメリカの東海岸タイムゾーンより1時間早くなった。

船内で毎日発行されるCrown Patterという新聞がある。Patterとは「早口のおしゃべり」のことだ。それを見てやっと事情が呑み込めた。目立つように青地に白抜きで「Time Change: Ship’s clock will be set one hour forward at 11:00am this morning」 となっていた。「船の時刻は今朝午前11時に1時間早くなる」ということだ。

またビュッフェでサラダだけのお昼を食べる。室内は満席だったので外に出てプールを見下ろすカウンターに座ると、そこは船尾だった。白い波しぶきをたてて船は確実にバルセロナに向かっている。食後に日陰にあるテーブルを探し、この旅で少しずつ読み進めていた『キリスト教から読む世界史』(関眞興著)という本を50ページほど読む。すごく面白い。『アダムのリンゴ』(副題「歴史から生まれた世にもおもしろい英語」)を書く前に読んでおくべきだったと思ったが、今年の2月に発行されたばかり。知りたいと思っていた、いろんな歴史のディテールが目に浮かぶようで本当にエキサイティングな読書だった。まだ半分以上ページが残っているので、少しずつ読み進んでいくことにする。楽しみだ。

部屋に帰って昼寝をしていたら4時半になっていた。あと45分で夕飯の時間。船内の時間が1時間進んだからだろうか、本当に1日が短い。

2階下にあるレストラン「ダビンチ」に行こうと階下に降りると、そこは正装した人たちでごった返していた。そうか、今夜は「フォーマル・ナイト」だったのか! 14日のクルーズで2回ある「正装の日」。私も家にはタキシードも蝶ネクタイも持っているのだが(NYのセントラルパークで行われた娘の結婚式の時に着たものだ)、この2か月にわたる長い旅で、たった2回のためにかさばる服を持ち歩くことはできない。乗船の前日にジャケットを買うのが精いっぱいだった。

そうだ! ジャケットと言えば、船の売店に絶対にあると思っていたのだが、予想に反して売っていなかった(ワイシャツやTシャツ、靴やビーツサンダルなどはあった)。そこだけがたった1つの売店なのか、他にはないのか、明日以降、船内を探検してみようと思う(シャネルの店はあったが・・・)。

仕方なしに、エレベータで15階に上がり、また同じビュッフェへ。毎晩、豪華にコース料理でビーフステーキを食べていたら、きっと栄養過多になってしまう。たまには夕飯を軽く済ませた方がいい。料理をお皿の上に載せて、外側の海が見えるテーブルに座ろうと思ったら、うしろから声をかける人がいた。昨日テーブルで一緒になったカレンとご主人だった。「フォーマル・ナイトだったので、ここで食べることにした」と説明。カレンは「その服装でまったく問題ないわよ」と言う。ご主人もYes, yes.と言う。

2人は6時半から上映されるウィンストン・チャーチルの映画「Darkest Hour」を見るために、ビュッフェでサッと夕食をとることにしたのだと言う。また20分ほど会話をしたが、私の話を本当に面白がって聞いてくれる。なぜ外国人には受けるのだろうか? 日本では、特に会社では、自分が面白いと思うことを周りの人にいろいろ話すのだが、あまり興味を示してくれない。みんな仕事に集中しているからなのか、私の感覚が他の日本人とは違っているからなのか?