旅三昧&ときどき読書+映画

私は小泉牧夫。英語表現研究家という肩書で『世にもおもしろい英語』『アダムのリンゴ 歴史から生まれた世にもおもしろい英語』(IBCパブリッシング刊)という本を書いています。2018年4月に 出版社を退職し、41年にわたる編集者生活を終えました。いま世界中を旅しながら、本や雑誌記事の執筆とともに、旅先ではこのブログを書いています。お金はありませんが、時間だけはたっぷりある贅沢な旅と執筆と読書と映画の日々を綴っていきたいと思います。

旅三昧&ときどき読書+映画

私は小泉牧夫。英語表現研究家という肩書で『世にもおもしろい英語』『アダムのリンゴ 歴史から生まれた世にもおもしろい英語」(IBCパブリッシング刊)という本を書いています。2018年4月に出版社を退職し、41年にわたる編集者生活を終えます。それからは世界中を旅しながら、本や雑誌記事の執筆をする予定。お金はありませんが、時間だけはたっぷりある贅沢な旅と執筆と読書と映画の日々を綴っていきたいと思います。

やっと日本人と出会う

48日、最初の陸地、マデイラ島に着くのが11日だから、まだ3日間は船の中での生活が続く。

今朝も明け方に目覚めてメールをチェックした後、二度寝をしてしまった。起きたのは1045分、もうすぐ時間が1時間進んで12時になってしまう。もうすぐにお昼を食べないと、豪華な夕飯が食べられない。

磁石マークの後の90度は温度ではなく、北極を0度として90度の右(東)へ向かっていることを示していることがわかった。93度なら少しだけ、上に向かっているということだ。

まず洗濯をしようとランドリールームへ。一番下の階の船首にあるランドリールームは、あまり人が行かない「穴場」のような気がしたので、そこ行ってコインを買おうとしたが、「カードに不備がある」という表示。「ゲストカウンターの8000番に電話しろ」とあるので電話したがお話し中。そうだろう、あれだけの人数の人がいつも行列をつくっているのだから、電話に出られる訳がない。

違うランドリールームを探す。3階上のD階を探したら、洗濯機がひとつだけ開いていた。カードもOKで、コインも問題なく買えた。40分のタイマーをセットして、15階のビュッフェへ。そこには乗船前にWaiting Areaで長時間話をしたSaraというおばあさんが食事をしていたので同席。先祖がバスクの出身なので、そこを訪ねると言う。フランスのバイオンヌとビアリッツという街にも行くと言う。「私も昔そこに行ったことがある。どちからの街にナポレオンの奥さんのジョセフィーヌの宮殿があったと思いますよ」と言うと、「ぜひそこに行ってみたい」と言う。

長話をしたので、洗濯のことについてすっかり忘れてしまった。タイマーの音には気づかなかった。セラに別れを告げてランドリールームに行こうと、エレベーターの前で待っていると隣にいたご夫婦が日本語を喋っていたので挨拶する。この船には3人の日本人が乗っているとレセプション係の女性が言っていた(彼女を入れて日本人は4人だ)。札幌からきたご夫婦で、「伊勢神宮の伊勢と言います」と奥様が自己紹介する。ランドリールームに急いでいたので、ほんの数分しか話せなかったが、指定されたレストランは私と同じ「ダヴィンチ」で時間も「515分」だと言う。「じゃあ、また今晩会いましょう」と言って別れる。

ランドリールームを必死で探すが見つからない。近くの部屋のルーム番号を写真に撮っておくべきだった。違う階だっただろうかと思い、階段やエレベーターで昇り降りするがわからない。もしどのランドリールームの洗濯機に洗濯物を入れたかわからずに行方不明になってしまったら、どうやって旅を続けたらいいのか? 20分ほどさまよい歩いて、やはりD階で間違いないと思い始めた。各階には左舷と右舷側2列に部屋が並んでいる。左が偶数、右が奇数の部屋だ。もうひとつの列も探してみようと思って速足で歩いたら、やっと見つかった。そこにいた女の人にお詫びする。「洗濯物は出しておいたわよ。この乾燥機が開いてるから使ったら」と親切に言ってくれる。またタイマーを40分にセットし部屋へ戻る。エレベーターで会った女性に「この船の1日は23時間だから忙しくて」と言うと、「いいえ22時間よ。今朝11時に1時早くなって、明日の11時にまた1時間早くなるんだから」と言う。なるほど、そうなのかも!

レセプションの日本人女性から、部屋に電話がかかってきた。「先日のスーツケースの損傷については、責任者が提出していただいた書類を承認したというサインをしましたので、取りにきていただけますでしょうか? 日本に帰ってからメールを送っていただけばと思います」と言う。そのことを了承し、「そうだ、今日日本人のご夫婦に会ったんですよ。もしよろしければ、明日4人で食事でもしませんか?」と聞いた。午後1時からオフだというので、1時半に15階のビュッフェで会うことを約束する。夕方にダヴィンチで会ったご夫婦にも、その旨を伝える。こんな日本と離れたところで出会うと、ここ至るまでの話が聞きたくなる。ものすごい人生ドラマがあったりして。

伊勢さんご夫婦は、一緒に食べる仲間が決まっているらしく、別のテーブルへ行った。私がいつものテーブルに行くと、すぐにカレンとボブがやってきた。その後、ボストンに住むといういとこ同士の2夫婦も同じテーブルになった。

カレンに「やっと日本人の夫妻に会えたんですよ」と言うと、「明日、ぜひこのテーブルに連れてきてよ」と言う。最後のデザートが終わってから、伊勢さんご夫妻を探してみると、ご主人が立ち上がって手品を披露していた。周りの人たちから大きな拍手喝采を浴びていた。

ものすごいエンターテイナー、あちこちから引っ張りだこのようだ。