旅三昧&ときどき読書+映画

私は小泉牧夫。英語表現研究家という肩書で『世にもおもしろい英語』『アダムのリンゴ 歴史から生まれた世にもおもしろい英語』(IBCパブリッシング刊)という本を書いています。2018年4月に 出版社を退職し、41年にわたる編集者生活を終えます。それからは世界中を旅しながら、本や雑誌記事の執筆をする予定。お金はありませんが、時間だけはたっぷりある贅沢な旅と執筆と読書と映画の日々を綴っていきたいと思います。

旅三昧&ときどき読書+映画

私は小泉牧夫。英語表現研究家という肩書で『世にもおもしろい英語』『アダムのリンゴ 歴史から生まれた世にもおもしろい英語」(IBCパブリッシング刊)という本を書いています。2018年4月に出版社を退職し、41年にわたる編集者生活を終えます。それからは世界中を旅しながら、本や雑誌記事の執筆をする予定。お金はありませんが、時間だけはたっぷりある贅沢な旅と執筆と読書と映画の日々を綴っていきたいと思います。

バスはトボガンよりスリリングだった!

410日、どうも夜になると眼が冴えて眠れない。でも昼間は眠い。なぜかやっとわかった。時差ボケだ。この船が出港したフォートローダデールよりも時間が5時間進んでいる。この時差が意外ときつい。以前、NY1週間過ごした後、LAに行ったが、その時も時差ぼけですごく眠かった記憶がある。

朝起きると、船が揺れていない。マデイラ諸島Funchalに着いたようだ。TVで船の現在の位置を確認すると、アフリカ大陸のカサブランカと同じくらいの緯度にある島とくっついている。今日は植物園に行き、ケーブルカーに乗って、その後トボガン(ソリ)でアスファルトの急坂を滑り降りるツアーに参加。午後1時出発だが、集合時間は1245分、場所は船を降りてすぐの桟橋だ。

いつものようにビュッフェで朝食を食べてから、集合時間よりも1時間早めに船を降りて長い桟橋を歩き町の方に行ってみる。急斜面に屋根がオレンジ色で壁が真っ白な家々が連なっている。こんな大西洋の孤島なのに、たくさんの金持ちが住んでいるようだ。余生をこの静かな島で送っている人も多いのかもしれない。大西洋の孤島なのに、寂しさのかけらも感じない。島中がリッチで洒落たリゾートといった趣だ。

30分ほど歩くと、何とそこには以前BS-TVの旅番組で観たサッカーのロナウドの記念館があった。中に入って見学したかったが、集合時間があと30分後だったので諦めて戻ることにした。ロナウドDonaldと綴る。なぜDの音がRの発音になるかよくわからない。

桟橋に戻ると、何台ものバスが並んでいた。私のツアーの番号は003A、そのバスを探して乗り込む。まず街の中心部を走り、その後とても急な坂を昇り始める。道もとても狭い。坂の上の対向車線からも大きなバスが来た。私の乗ったバスは後退して、どうにかすれ違いができた。崖の端から20センチくらいのギリギリのところを走っている。なんだかソリよりもスリルがある。バスでこんな怖い思いをしたのは、かなり昔、奥多摩の駅から西東京バスに乗って日原鍾乳洞に行って以来だ。

ツアーガイドがアナウンスする。「大丈夫です、心配しないでください。このバスのドライバーはこの島で2番目に運転がうまいんです。一番うまい人はいま入院してますが・・・」。みんなドッと笑う。いつか私の本でこのジョークを使ってみようと思い、頭に叩き込む。

最初は植物園。この島は、他の世界とは隔絶されているために、特殊な植物がたくさんあり、世界遺産に登録されている。きっと植物に興味がある人が来れば、ものすごく面白いところなのだろう。

次にケーブルカーに乗り、ほんの数分で山の上の方にある駅に到着。以前、オーストラリアのケアンズ台北で乗ったケーブルカーの方がはるかに長く楽しい。もちろん箱根も捨てたもんじゃないが・・・。

その後、階段や急な坂を昇り教会へ。この教会に関連して、帰りのバスでまたガイドがジョークを言った。「この島では50%がCatholicカトリック)で、残りの50%がalcoholicアルコール中毒)です」。holicで韻を踏んでいる。これもいつか本で使ってやろう。

さあ最後のToboggan(ソリ)だ。ソリには他にsleighという単語があるが、一昨日のディナーの時、私はMerlinに「Is Toboggan sled?」と聞いてしまった。彼はYes! That’s right.と何の違和感もない顔で応えた。いけない、sleighなのになぜsledと言ってしまったのだろうか? でもsledってなに?と思い、電子辞書をチェックすると、何とsledもソリのことだった。なんでこんな単語が頭の片隅に残っていたんだろう(この3つのソリの違いについては、辞書にあるので省略)。

トボガンには2人掛けの座る椅子があり、下にソリがついている。そのソリの先端には紐が結びつけられていて、それを持った2人の“操縦士”が後ろに乗って向きを変えたりという調節をする。傾斜が緩やかになった場合は、ソリから降りて押したり、片脚で地面を蹴ったりしてスピードをつける。

私はこのツアーで親しくなったDallasという青年と一緒に乗り込む。かなりのスピードだ。地面のアスファルトがソリとの摩擦によってだろう、ピカピカに光っている。ソリが横向きになったと思ったら、自動車との対面通行の道路に出た。私が右側に乗っていたので、あやうく対向車とぶつかりそうになる。左側には側溝がある。うっかり落ちたりしないのだろうか?

交差点を走り抜けるとまだスピードアップし、最後の地点に辿り着いた。操縦士“の1人が「何か飲み物を飲みたいのでお金を」と言ったので、チップのことだと思い、降りてから小銭入れの中を見ると、訳のわからないユーロのコインがたくさん入っていた。2ユーロ・コインがあったが、それは300円くらいだったので、ちょっと高すぎると思い、慌てて違うコインをまさぐると30セント・コインがあったので、それを1枚渡す。よく考えてみると50円くらいだった。

降りた場所はカフェと記念写真の販売所を兼ねていて、トボガンに乗ったダラスと私の写真が出来上がっていた。早い! ほんの23分前に撮ったばかりの写真ではないか! 10ユーロか10ドルだと言う。財布を見ると5ユーロ札が2枚あったので、それを渡して買うことにする。ダラスは10ドルで払った。私は1500円、彼は1100円。400円損した。

ダラスはテキサス州Dallasと同じ名前、同じスペル。カナダのバンクーバーから来ていた。おじいさんと一緒にこのクルーズに参加。今日はおじいさんは船の部屋で休んでいて、今日のツアーには1人で参加したのだそうだ。建築士の仕事をしていて23歳だと言う。「私はその歳で、編集者としてのキャリアをスタートさせたんだ。42年も前のことだよ。いいね、君にはまだまだ素晴らしい人生が待っていて」。私がそう言うと、ダラスはThank you!と言ってニッコリ笑った。

船は夕方5時に出向して、明日は終日海を航行し、明後日ジブラルタルに着く。ヨーロッパ大陸とアフリカ大陸の間の町だ。私はスペインの南端にあると思っていたのだが、イギリス領だと言う。