旅三昧&ときどき読書+映画

私は小泉牧夫。英語表現研究家という肩書で『世にもおもしろい英語』『アダムのリンゴ 歴史から生まれた世にもおもしろい英語』(IBCパブリッシング刊)という本を書いています。2018年4月に 出版社を退職し、41年にわたる編集者生活を終えます。それからは世界中を旅しながら、本や雑誌記事の執筆をする予定。お金はありませんが、時間だけはたっぷりある贅沢な旅と執筆と読書と映画の日々を綴っていきたいと思います。

旅三昧&ときどき読書+映画

私は小泉牧夫。英語表現研究家という肩書で『世にもおもしろい英語』『アダムのリンゴ 歴史から生まれた世にもおもしろい英語」(IBCパブリッシング刊)という本を書いています。2018年4月に出版社を退職し、41年にわたる編集者生活を終えます。それからは世界中を旅しながら、本や雑誌記事の執筆をする予定。お金はありませんが、時間だけはたっぷりある贅沢な旅と執筆と読書と映画の日々を綴っていきたいと思います。

ジブラルタルの猿と高崎山の猿

4月13日、Wake-Up Callで朝6時半に起きる。745分に部屋を出て10分で朝食を済ませ、慌てて今日のジブラルタル・ツアーの船内の集合場所「プリンセス・シアター」へ。乗船した日の「避難訓練」で救命胴衣の着け方などの説明があった劇場だ。

また船の中で迷子になってしまい、集合時間に8分ほど遅れてしまった。劇場に入った時にはもう、参加者はツアーごとに分かれて桟橋のバスに向かっていた。私は受付で「23」と印刷されている小さな丸い紫のワッペン(裏側がシールになっていて服にくっつくようになっている。英語ではbadge「バッジ」と言う。日本語で「バッジ」と言うとスチール製の小さなボタンのようなものを想像するが・・・)を受け取ってシャツにつけたのだが、「23」という番号を呼ばれたので、訳もわからず行列の後について行った。船の出口ではルームカードのバーコードをスキャンしてもらう。また船に戻って来た時に、またバーコードをチェックして、降りた人が全員乗ったかどうかを確認するためだ。さらにもうひとつ、全く関係ない人が船に乗るのを防止するためでもある。

残念ながら雨が降っていた。桟橋の先では小さなマイクロバスがたくさん並んでいた。私は「Purple 23」という表示のあるバスに乗り込んだが、まだ誰も来ていない。5~6分もすると、どんどん人が乗り込んできて満員になった。ガイドから「今日は雨が降っているのでケーブルカーには乗れない」旨の説明があり、「まず最初にrunwayに行く」と言う。え? 滑走路? 飛行機にでも乗るのか?と思っていると、マイクロバスは街中に入り狭い道を走る。イギリス本土と同じようにroundaboutというロータリーがあるのだが、車が道路の右側を走っていることが大きく違う。

そのうちに突然、道路の左右が大きく開けてきた。そこは滑走路だった。何と滑走路のど真ん中を横切る道路をバスは走っていたのだ。きっと飛行機が離着陸する時には通行止めになるのだろう。その先には税関らしき建物があり、そこから人がどんどん歩いて出てくる。バスはその手前でUターンし、また滑走路を横切る道路を通って街中に戻っていった。数多くの人も延々と横断道路を歩いて、おそらくは職場へと向かっていた。

バスはどんどん狭い坂を上がり街を見下ろす展望台に出た。街の向こうに海があり、その先にはまた街並みが見える。あれはアフリカ大陸だろうか、それともジブラルタル海峡を取り巻く岬で、まだヨーロッパ大陸なのだろうか? 何しろWiFi接続時間が限られているのでネットで確認することもできない。その高台には野生の猿がいて、人の肩の上に載ったりバスの屋根の上に飛び乗ったりしていた。

昨日のディナーの時に、このジブラルタルの猿の話になり、その流れでカレンに「日本のほぼ真ん中にあるMonkey Hot Springを知ってる? そこがいま外国からの旅行者の間ですごい人気なんだよ」と言った。その温泉がある場所を日本で何と言っているか知らないが、とりあえずMonkey Hot Springと表現してみた。彼女は「映像で見たことあるわ。猿が温泉に浸かっているところよね。雪が降ると頭の上に積もって本当にキュート」と言った。 

ふと2月に大分に住む友人を訪ねた時のことを思い出した。別府から湯布院に向かって彼の車で走っていると、港に大きな船が停泊しているが見えた。そこからそのまま陸橋を渡って山側に行くと(野生の?)猿の放し飼いで有名な高崎山に至ると言う。友人は「高崎山は今クルーズ船でやって来る外国人がたくさん訪れていて大変な人気なんだ」と言っていた。「今、大分県はすごい。クルーズ船も誘致して寄港するようにしたし、外国人留学生をたくさん集めた国際的な大学もつくった。今の知事はなかなかのやり手だ」と珍しく褒めていた。

日本列島周辺を航行し、釜山とか台北シンガポールなどに行くクルーズもいくつかあるらしい。何日か前に話をしたカナダ人も、次には日本周辺のクルーズを予約したと言う(この船で次のクルーズを予約すると300ドルのディスカウントがある)。

去年の11月には金沢の友人を訪ねたのだが、兼六園から駅まで乗ったタクシーのドライバーも「もう忙しくて嬉しい悲鳴ですよ。新幹線が開通してもすぐにブームは終わって、元の静けさに戻るかと思ったらとんでもない。石川県知事と金沢市長がクルーズ船が寄港するようにしたら、いっぺんに何千人もの外国からのお客さんが上陸して、ものすごい賑わいなんですわ」と言っていた。クルーズ船の経済効果は抜群のようだ。

話をジブラルタルに戻すと、次に向かったのはイギリス軍が岩山に掘った軍事トンネル。船が外海から地中海に入るには、このジブラルタルか、中東から入るスエズ運河を通るしかない。このジブラルタルの地を支配すれば、ヨーロッパ全体をコントロールできた。イギリスは18世紀の初めからこの地を支配下におさめ、岩山の中にトンネルを掘った。その内部から外側に向けて穴を開け、大砲を設置して下にいる敵めがけてぶっ放したのだと言う。大砲の前には金網が張ってあったが、下を覗くとさっきの滑走路が見えた。

バスは午前11時半に船に戻った。ケーブルカーにも乗らなかったし、アッという間のツアーだった。私はいまだにガイドがいて、その後をついて行くというグループ旅行が好きになれない。チケット売り場や入場口に長時間並ばなくてもいいことだけが唯一のメリットだ。バルセロナでは入港日にサグラダファミリアへ、その翌日の下船日にはモンセラットへ行く。本当は時間に追われることなく自分のペースでじっくりと見学してみたいのだが・・・。

明日はCartageneという町に着く。日本語でいえば何と言う町なのだろうか? よくわからないのでツアーには行かず、船内でゆっくり過ごそうと思う。