旅三昧&ときどき読書+映画

私は小泉牧夫。英語表現研究家という肩書で『世にもおもしろい英語』『アダムのリンゴ 歴史から生まれた世にもおもしろい英語』(IBCパブリッシング刊)という本を書いています。2018年4月に 出版社を退職し、41年にわたる編集者生活を終えました。いま世界中を旅しながら、本や雑誌記事の執筆とともに、旅先ではこのブログを書いています。お金はありませんが、時間だけはたっぷりある贅沢な旅と執筆と読書と映画の日々を綴っていきたいと思います。

旅三昧&ときどき読書+映画

私は小泉牧夫。英語表現研究家という肩書で『世にもおもしろい英語』『アダムのリンゴ 歴史から生まれた世にもおもしろい英語」(IBCパブリッシング刊)という本を書いています。2018年4月に出版社を退職し、41年にわたる編集者生活を終えます。それからは世界中を旅しながら、本や雑誌記事の執筆をする予定。お金はありませんが、時間だけはたっぷりある贅沢な旅と執筆と読書と映画の日々を綴っていきたいと思います。

エジンバラまではプロペラ機で

8月25日、午後8時に妻とボンマスの街の中心の広場「スクエアー」前にあるタクシースタンドで待ち合わせ。タクシーに乗り駅前にあるバス・ステーションに行く。運転手は「妹の夫が日本人だ。いつか日本に行ってみたい」と言う。日本人が乗ってきて、しかも会話をすることができたので、とても嬉しそうだった。

「これからヒースローから飛行機でエジンバラに行って、明日からスコットランド湖水地方をドライブする」と言ったら、「それは絶対に楽しい旅になる」と言ってくれた。

30分ほど待ってバスに乗る。ロンドン・ヒースロー空港5番ターミナルまでは1時間で着いたので、「予定の1時間半よりもずいぶん早く着いたな」と思ったら、第4、第3ターミナルを廻って最後の第2ターミナルの中央バス・ステーションまでさらに30分がかかり、結局は予定通りの時間に到着した。

午後6時にFlybeというLCCの飛行機に乗ってエジンバラまで飛ぶのだが、ちょっとカウンターで確認しておきたいことがあった。一昨日この航空会社からメールが届いた。ネットでの事前チェックインのためだ。チェックインは簡単にできたのだが、その画面にはこんな注意書きがあった。何と「預け荷物は11個、15キロ以内」とある。妻は2か月近くレジデンス(宿舎)に滞在していたので、当然荷物が多い。それを話すと、「そういう大切なことは早く言ってほしい」と怒っている。重さをはかるといっても、体重計もないし、どのくらいなのか皆目見当はつかない。15キロ以上あることは確かだと思うが・・・。

2ターミナルにあるFlybeのカンターに行くと、カウンターに2人女性スタッフがいた。「今日の夕方630分の飛行機でエジンバラに行くのですが、預け荷物の重さを計ってもらえますか?」と頼んだ。私のスーツケースを重量計に載せると153キロ。ギリギリセーフだ。さて妻の方はと言うと、何と22キロ。明らかに重量オーバーだ。「機内持ち込みの荷物の方に移し替えるので、ちょっと待ってください」と言うと、女性スタッフは親切にも重量計があるところまで案内してくれた。

妻のスーツケースの中にある重そうなものを2人の手荷物の中に大慌てで突っ込む。一番重そうな洗顔石鹸やクリーム、化粧水などを大量に機内持ち込み手荷物に移し替えては重量計に載せる。まだ3キロもオーバーしている。今度は本やノートなどや電子辞書類を私のバックパックの中に入れた。

どうにか15キロ台になったのでカウンターに戻る。「全部手荷物に移し替えました。夕方630分の便なのですが、もう荷物を預けられますか?」と聞いた。彼女は「まだ12時です。なぜこんなに早く来たのですか?」と聞くので、「スーツケースの重量が気になったので、念のために早く来ました」というと「なるほど」と納得してくれた。

「それではいま手荷物のチェックインをしますね」と言うと、荷物をベルトコンベアーを動かして奥に送り込み、搭乗券と預け荷物のタグを渡してくれる。「これからどこへ行きますか?」と聞かれたので、「ロンドンの街を見て4時ごろまでには帰ってきます」と言うと、「5時までには戻ってきて、セキュリティチェックを通過してください。くれぐれも遅れないでくださいね」と言ってくれた。

私と妻はお礼を言って、1階下にある「荷物預かり所」に行った。スーツケースは無事にチェックインできたが、重い手荷物を持ってロンドンに行くことはできない。妻は大きなハンドバックと布の手提げ袋、そしてギリギリ客席に持ち込めるカート付きのスーツケースを持っていた。私もバックパックの中にPCと妻の教科書やノートが入っている。1階下に「left baggage」と表示された荷物預けコーナーがあったので、そこに預けることにした。荷物ひとつにつき3時間まで75ポンド(1100円)、3時間以上12時間以内が125ポンド(1800円)。これからロンドンに行って、早めに4時までに戻ってきたとしても完全に3時間は超えてしまう。荷物を3つ預けると5000円。仕方なしにPCや教科書やノートが入っている私のバックパックを預けるのをやめ、背負ってロンドンの中心地に行くことにする。

2ターミナル地下にはUnderground(イギリスでは地下鉄のこと。tubeとも言う。アメリカではsubway)の駅があり、妻は手自動販売機でロンドン版スイカともいうべき「オイスターカード」を買って地下鉄に乗り込む(私は2週間前に購入済み)。

行き先は「テイト美術館」。40分くらいで最寄りの駅に着く。歩いて10分で美術館へ。運よくイギリスを代表する画家ターナーの特別展をやっていた。5月のゴールデン明けの月曜日に新宿の東郷青児美術館で開催されていた「ターナー展」に行ったばかり。その会場で見た「難破船」の絵もこのテイト美術館にはあり、私は再会を喜んだ。この絵はテレビ東京の「美の巨人たち」でも取り上げられていた傑作だ。

大急ぎで館内を歩き回り4時前には地下鉄に乗る。当然5時前には空港に戻れると思っていた。ところが地下鉄が空港に近づくと、スピードが遅くなり何度も止まってしまう。駅での停車時間も長くなった。「この電車は5番ターミナル行に変更になります。第2・3・4ターミナルに行く人は、次の駅で向かいのホームに来る電車に乗り代えてください」というアナウンスがあった。日本なら成田でも羽田でも、空港に行く電車やモノレールは空港内の全ての駅に停まる。ところが、第5ターミナル行きの電車だと、第2、第3ターミナルには行かないらしい。他の人に聞いてみたら、みんな観光客で「よくわからない」と言う。

結局、空港に着いたのはギリギリの時間になってしまった。手荷物預かり所で荷物をピックアップしてセキュリティ・エリアまで大急ぎで走る。ところがセキュリティ・エリアの検知器のところでまた時間を食ってしまった。機内持ち込みの荷物に入っていた化粧水やクリームなど大きなビンやチューブに入っていたものは全て捨てられてしまったのだ。それだけではない。小さめの化粧品やチューブのクリーム類も、縦18センチ、横13センチほどのビニール袋1枚の中に納めなければならなかったのである。そこからはみ出したものも全て捨てられてしまった。高価な化粧水を捨てられた時には、妻は本当に残念そうだった。預け荷物にすれば何の問題にもならないことが、重量オーバーだったことで、機内持ち込みになった。そのために、こんな理不尽な目に遭ってしまった。海外旅行は何があるかわからない。

ゲートではもうボーディングが始まっていた。LCCなので、ゲートからはバスでタラップまで行く。飛行機に近づくと、何とプロペラ機ではないか。ヒースローからエンジンバラまで2人で片道3万円。そのからくりは夕方の乗客の少ない時間だったことと、飛行機がプロペラ時だったことで、値段が安くなったのだ。妻は「こんな危ない飛行機を選んで・・・」と文句を言っていたが、私は「プロペラ機に乗るなんて初めて海外旅行をした1977年以来だ」と大喜びしていた。

 

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飛行機は1時間半ちょっとでエジンバラ空港に着いた。タクシーでホテルに向かう。後から知ったのだが、空港から街の中心までトラムが走っていて、3つ目の駅で降りてから5分歩けばホテルに行けたのだった。ホテルをネット予約したエクスペリアにもそんな情報は載っていなかった。いちいちホテルに確認しなければいけなのか。

タクシーを降りる時、運転手から1枚のビラを渡される。それには「空港に戻る時には20%オフ」という文とともに、そのタクシー会社の電話番号もあった。このビラのせいで、私たちは6日後に大変な目に遭うことになる。