旅三昧&ときどき読書+映画

私は小泉牧夫。英語表現研究家という肩書で『世にもおもしろい英語』『アダムのリンゴ 歴史から生まれた世にもおもしろい英語』(IBCパブリッシング刊)という本を書いています。2018年4月に 出版社を退職し、41年にわたる編集者生活を終えました。いま世界中を旅しながら、本や雑誌記事の執筆とともに、旅先ではこのブログを書いています。お金はありませんが、時間だけはたっぷりある贅沢な旅と執筆と読書と映画の日々を綴っていきたいと思います。

旅三昧&ときどき読書+映画

私は小泉牧夫。英語表現研究家という肩書で『世にもおもしろい英語』『アダムのリンゴ 歴史から生まれた世にもおもしろい英語」(IBCパブリッシング刊)という本を書いています。2018年4月に出版社を退職し、41年にわたる編集者生活を終えます。それからは世界中を旅しながら、本や雑誌記事の執筆をする予定。お金はありませんが、時間だけはたっぷりある贅沢な旅と執筆と読書と映画の日々を綴っていきたいと思います。

船上での日本人会

4月9日、珍しく朝7時半に目が覚め、今朝はビュッフェではなくいつも夕食を食べているレストラン「ダビンチ」で本格的な朝食をとる。隣の席には中国系の女性と白人のご主人がいた。「トロントから来た」と言う。私が「トロント行ったことがありますよ。トロント・アイランドで自転車に乗って楽しかった。セスナの小さな空港もありますよね」と言うと、「去年、島が水没してしまって大変だったんだよ」と言う。

部屋に戻りシャワーを浴びて、最上階のプールサイドで上映される映画「マンマ・ミーア」を見に行く。この場所は「Movie Under the Stars」と呼ばれている。「星の下の映画」という意味だが、昼間も映画をやっているから、いつも「Under the stars」ではない。昼間は「Under the Blue Sky」だろう。

風邪が強くて寒い。部屋に戻りカーディガンを羽織る。まぶしいかもしれないので、サングラスをかけようかと迷ったが、普通のメガネにした。

戻ると始まって5分が過ぎていた。ビーチチェアーに寝そべって見始めたが、空は明るくスクリーンの周りも白くてまぶしい。サングラスをかけてくればよかった。これまで船上での催しや「お楽しみ」に参加するような時間がなかったが、やっと余裕が出てきた。と言っても、もう出港から6日目なのだが・・・。

このミュージカル映画はもう何年も前に観た。ABBA(本当の表記は最初のBが左向きになるのだが、活字になる場合には普通のBでいいことになっている)のヒット曲とメリル・ストリープの「弾けた」歌とダンスが良かったが、それ以外にはあまり印象に残っていない(NYブロードウェイの舞台も観たことがある)。

ABBAスウェーデンのポップグループ。もちろん曲もいいのだが、歌声をコンマ何秒かずらしてエコーのように2つ連続させることによって、聴く人の印象に残りやすいサウンドにしたことで、音楽のプロの間でも評判になった。

以前、ユーミン松任谷由実さん)のお宅にお邪魔したことがある。その時に「『マンマ・ミーア』のようなミュージカルがあるのですから『ルージュの伝言』とかいうミュージカルがあったら、絶対に評判になると思います」と言ったら、彼女は「そういう話はたくさんあるんですけどね・・・」と言っていた。最近、ユーミンの歌だけでミュージカルがつくられたようだが、あんまり評判になっていないようだ。確か時々サプライズで本人が舞台に登場して歌うというような趣向もあったはずだが・・・。

映画を観ながら、なにか日本でもこんなミュージカルができないだろうか?と思った。そうだ、加山雄三の歌をふんだんに集めたミュージカル映画をつくったらヒットするかもしれない。少し前に私の会社の同僚(女性)が、「周りの人から加山雄三若大将シリーズの中でも『エレキの若大将』が面白いと勧められてDVDを見たら、すごく面白かった」と言っていたっけ。

「旅人よ」や「夕日は赤く」などの曲があるから「ロードムービー」がいい。そして以前の映画の映像なども使って、加山雄三の俳優人生も回想できるようなものでもいいかもしれない。旅に出ると心が自由なので、次から次へとアイディアが思い浮かぶ。ネット情報では、光進丸が火事になって5億円の損失が出たという。このミュージカル映画で、損害額をカバーできるかもしれない。

映画が終わると、そのまま同じ階のビュッフェ「Horizon」へ。そこで伊勢さんご夫妻、矢野さんという受付の日本人スタッフと4人で「日本人会」をする。

伊勢さんは もう数えきれないくらいクルーズ船に乗っていて、もうこれを最後にしようと思っていると言う。奥様が「なかなか船の中では勉強できないんですが・・・」と言って、遠山顕先生の英語テキストをバッグの中から取り出した。私は深々と頭を下げた。

矢野さんは日本の高校を出てカナダの学校に行き(その時には全く英語ができなかったそうだ)、ウィスラーの旅行代理店で働いていたが、2013年からこの船に乗って働いていると言う。普通の日本人とは全く異なる人生を歩んでいる。外国人に囲まれて働いているせいか、確固たる自分を持ち自信がみなぎっているのがわかる。目がキラキラ輝いている。

夕食はまた、ダヴィンチのいつものテーブルに行く。伊勢さんのテーブルに行き挨拶をしてから、いつものテーブルに行くと、Merlinとイギリス人でトロントに住んでいるJeffがすでに来ていた。Jeff とは今日お昼にすれ違ったのだが、「夜のように酒を飲んで赤ら顔ではなかったのでわかりませんでした」と冗談を言った。Merlinに「昨日は何をしていたの?」と聞くと、オープンデッキで寝ているうちにすっかり眠り込んでしまい、夕飯に間に合わなかったと言う。「よく風邪を引かなったね」と言うと、「ぜひやってみなよ。ものすごく気持ちいいから」と言う。

ボブとカレンもやって来た。しばらくすると、伊勢さんのご主人がテーブルに来たので、みんなに「この人はものすごいマジシャンなんです」と言って紹介。1つだけマジックを披露してもらった。みんなIncredible!と言って大拍手。

ボブとカレンは7時から「Movies Under the Stars」で「Victoria and Abdul」という映画を観ると言って、デザートを食べずに行ってしまった。

食事が終わると、私はMerlinが勧めてくれたように、オープンデッキの長椅子にしばらく座り、じっと海を眺める。私の前を何にもの人が行ったり来たり、ウォーキングをしている。今日は3食ともたくさん食べてしまった。ランドリールームを探して歩き回ることもしていない。明日は少し運動するか、プールで泳ぐかしなければ・・・。