旅三昧&ときどき読書+映画

私は小泉牧夫。英語表現研究家という肩書で『世にもおもしろい英語』『アダムのリンゴ 歴史から生まれた世にもおもしろい英語』(IBCパブリッシング刊)という本を書いています。2018年4月に 出版社を退職し、41年にわたる編集者生活を終えます。それからは世界中を旅しながら、本や雑誌記事の執筆をする予定。お金はありませんが、時間だけはたっぷりある贅沢な旅と執筆と読書と映画の日々を綴っていきたいと思います。

旅三昧&ときどき読書+映画

私は小泉牧夫。英語表現研究家という肩書で『世にもおもしろい英語』『アダムのリンゴ 歴史から生まれた世にもおもしろい英語」(IBCパブリッシング刊)という本を書いています。2018年4月に出版社を退職し、41年にわたる編集者生活を終えます。それからは世界中を旅しながら、本や雑誌記事の執筆をする予定。お金はありませんが、時間だけはたっぷりある贅沢な旅と執筆と読書と映画の日々を綴っていきたいと思います。

ハドリアヌスの城壁を目指して

828日(火)、昨日ホテルに着いたのが深夜になってしまった。その反省にたって朝8時にホテルを出発する。Clydebankというその町から橋を渡ってハイウェイに入り、それをグラスゴー方面に行って、そのまま南下すればいいだけなのだが、またもや、どうしてもその幹線道路に出られない。ロータリーで間違って、違う道に入ってしまった。するとGPSには、その先のロータリーまで行って、また元に戻るような表示が出る。ホテルを出てすぐに渡った橋を逆方向に走っている。その先でもまた道を間違えしまう。グラスゴーからはどんどん遠ざかっていく。そんなことを繰り返すこと40分、何と出発点のホテル近くに戻ってしまった。もう一度スタートから出直し。

20分後、どうにかハイウェイに入ることができた。運転し始めてから1時間が過ぎていた。

そのハイウェイの運転も難しい。妻には「とにかくエジンバラ方面に行かないよう。エジンバラという標識が見えてきたら、そっちではない方に行くように」と伝えたが、3つの方向に行く標識が出てきた。8車線もある広い道路で、エジンバラ方面以外に2つの道があった。普通だったら運転手はパニックになってしまうだろうが、妻はアメリカやカナダでも運転をしているので、どうにかそれを乗り切った。凄い!

このスマホGPSは本当に役に立たない。というか、GPSの見方がわからない私がいけないのか? 紙の地図だったら、私は絶対に間違えない自信がある。昔ずいぶんアメリカやカナダの道をドライブしたが、紙の地図を見ていた私が道を間違えたことは一度もなかった。かなり方向感覚は良い方だ思っていたのだが、iPhoneの地図アプリでどこかに行くと、歩いていったとしても必ずといっていいほど、道を間違えてしまう。

もう30年も前だが、海外での初めてドライブしたのがイギリスだった。車も左側通行だし、日本と同じで運転しやすいと思ったからだ。ヒースロー空港からウインザー、オクスフォード、ストラスフォードアポンエイボン、バースと来て、ヒースローに戻るというコース。その時には、大きな1枚のイギリス全土の地図と、本になっている詳細地図を見て、私がナビゲートしたのだが、何度か道に間違ことはあったものの、今回のように頻繁に迷うことはなかった。

はやりiPhoneの地図アプリは、私のような古い人間には合わないようだ。だいたい指で地図を伸ばして拡大しているうちに、その周辺が画面から消えてしまう。そうすると、もともと全体の中で自分がいる場所がわからなくなる。「ITネイティブ」という言葉がある。若い人が何の苦労もなく地図を見て、目的地に行けるのが不思議だ。

南へ行くハイウェイは、イギリスを縦断する幹線道路で、道に迷うことはなかった。ドライブインで少し遅めの朝食を済ませ、午後2時頃にはお昼を食べた。さらに2時間ほど走るとハイウェイを左に外れ、カーライルという町の北側に来た。

コンビニにあるガソリン・スタンドで給油を終え、妻は何かお菓子を買って車に戻ろうしたら、Helloと声をかける男性がいた。「日本人ですか?」と聞くので「Yes!」と応えると、「私はバングラデッシュ人で、何年か日本に住んでいたので、本当に懐かしいんですよ。日本人だと思い、思わず声をかけてしまいました」と言う。「船の船長をやっていて、日本からホンダの車を運んでいました」と言う。話が弾んで20分も話し込んでしまった。

「で、今はイギリスに住んでいらっしゃるのですね?」と私が聞くと、「はい、いまはグラスゴーに住んでいます」と言う。「私も今朝グラスゴー郊外のClydebankのホテルを出発して、これから「ハドリアヌスの城壁」を見に行くんです。昨日はネス湖に行ったんです」と言うと、「昨日、私はネス湖の南の端のFort Williamにいました」と言う。「私たちも、昨日その町を通りました。通りを車で運転していただけですが、素敵な町だとわかりました。でもその後が、大変でした。通行止めがあって、また元の道に戻って迂回しなければなりませんでした」と言うと、「Oh, you too!」(えっ、あなたもですか!)と驚いたような顔をした。「私もなんです。元来た道を戻ってものすごい遠回りをしました」。What a coincidence!(何という偶然なんだ)とお互いに言い合っていると、何だか昔からの友人のように思えてきた。「バングラディシュから両親がやってきて、イギリス中をドライブしている」と言う。「Drive safely!」「Enjoy your travel!」と声をかけあって、私たちは別れた。

私は運転している妻に「ハドリアヌスの城壁」について説明した。「ローマ帝国が紀元2世紀に建設した全長100キロ以上の長い城壁なんだ。その時の皇帝ハドリアヌスから、こんな名前がついた。北からのピクト族の侵入を防ぐためにつくった、いわば中国の万里の長城のイギリス版だね。衛星写真でもわかるらしいよ」

20分ほどで「ローマン・アーミー博物館」に着いた。5時半だったので、もう30分しかない。中にはローマ兵の鎧・兜、戦いの様子、長い城壁の拠点拠点に誕生した村での生活ぶりを紹介する展示や映像もあり、大急ぎで見学する。受付で「ハドリアヌスの城壁を実際に見ることができますか?」と聞くと、「15分歩いたところにあります」と言う。「外に出ると駐車場があるので、そこを通ってから左に行ってください」と親切に教えてくれたのだが、いくら歩いてもそれらしきものはない。

どうやら「その駐車場」がこの博物館の駐車場ではなく、さらにその先にある広い駐車場のことだったようだ。岩の崖の上にかろうじて見える「ハドリアヌスの城壁」らしきものを写真におさめる。急坂を昇って、行ってみようとも思ったのだが、昨晩、暗闇の中を闇雲に車で走ったトラウマが蘇ってきたこともあり、もう暗くなりそうだったので近くのWetheralという村のホテルに向かうことにした。

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