旅三昧&ときどき読書+映画

私は小泉牧夫。英語表現研究家という肩書で『世にもおもしろい英語』『アダムのリンゴ 歴史から生まれた世にもおもしろい英語』(IBCパブリッシング刊)という本を書いています。2018年4月に 出版社を退職し、41年にわたる編集者生活を終えました。いま世界中を旅しながら、本や雑誌記事の執筆とともに、旅先ではこのブログを書いています。お金はありませんが、時間だけはたっぷりある贅沢な旅と執筆と読書と映画の日々を綴っていきたいと思います。

旅三昧&ときどき読書+映画

私は小泉牧夫。英語表現研究家という肩書で『世にもおもしろい英語』『アダムのリンゴ 歴史から生まれた世にもおもしろい英語」(IBCパブリッシング刊)という本を書いています。2018年4月に出版社を退職し、41年にわたる編集者生活を終えます。それからは世界中を旅しながら、本や雑誌記事の執筆をする予定。お金はありませんが、時間だけはたっぷりある贅沢な旅と執筆と読書と映画の日々を綴っていきたいと思います。

湖水地方の青い空と緑の平原

829日(水)、朝Whetheralという村のホテルを出発、近くのカーライルという町まで車を走らせ、カーライル城へ。「ハドリアヌスの城壁」がイングランドスコットランドの境界だとされるが、この地に紀元2世紀にローマ軍により砦が築かれた。おそらく「ハドリアヌスの城壁」の建設基地という意味合いもあったのだろう。

その後、11世紀のノルマン・コンクエストの後にウィリアム2世によりこの地にお城が築かれた。敵対するスコットランドと戦いの最前線でもあった。16世紀にはスコットランド女王メアリーが幽閉されている。城の城内には「国境部隊博物館」も併設されていた。第1次・第2次大戦でもイギリス軍の重要基地となった。ここなら敷地も広いし、古びてはいるが頑丈な石の建物があるので、新たに軍事基地や兵舎を建てるより、はるかに経済的だったのだろう。

 

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午後1時、The Lake District湖水地方)へ向かう。これまでのドライブで一番の近距離。昔から湖水地方を訪れることが夢だった。ピーター・ラビットの物語が誕生し、詩人のワーズワースがこの地の美しさを称える数多くの詩を書いたことでも知られる。もう30年も前だが、当時、法政大学教授だった田嶋陽子先生から「ドライブするなら、イングランド湖水地方が最高です。もう空の青さや自然の緑の色が違うんですよ」と勧められていたところだ。その通りだった。空の青さ草原の緑がものすごく濃く感じられる。理由はわからないが、この土地特有の気候のせいなのかもしれない。

車はウィンダミアの町に入った。ものすごい人出だ。昨年、世界遺産になったばかりだという。夏休みの最後を楽しもうとする観光客が世界中から訪れているのだろう。右にベアトリクス・ポターの博物館や湖の観光ボートが発着する桟橋を見ながら進むと、駐車場の標識が見えた。そこは満車で、その先の別の駐車場に入る。ところがそこも一杯。やっと1台の車と茂みとの間に、ぎりぎり駐車できるスペースを見つけて、何分もかかってそこに車を入れる。近くでは、1台の車の前に別の車が停まっていて、そこから出られず、運転手が警察を電話で呼んでいた。ものすごいことになっている。

湖の桟橋はものすごい数の人で溢れている。その前のカフェでお昼を食べ、ベアトリクス・ポター博物館へ。ここも長い行列に並ぶこと30分、やっと入場できた。とにかく子供が多い。ピーター・ラビットが大好きな子供たちにとっては、きっと夢のような世界なのだろう。

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日本国内では福音館という出版社が、ピーター・ラビットの絵本の日本語翻訳権のみならず、文や絵の著作権をすべて統括している。穂積さんという人が、まだ若い頃、社内の大反対を押し切って、著作権権利代理契約を結んだものだ。それが現在もこの出版社の屋台骨を支えている。

この穂積さんは、その後この出版社を離れ、韓国の画家のマネジャーとなり、世界各地で絵画展を開催している。もう15年も前に「冬のソナタ」という韓流ドラマが大ヒットしたが、主人公の二人が高校生時代にデートした南怡島という島があり、そこが一大観光地となった。その島には遊園地もあったりするが、一角に「アンデルセン美術館」というのがあった。画家は、その博物館のオーナーなのだと言う。

夜はウィンダミアの町中にあるB&Bに泊まる。