旅三昧&ときどき読書+映画

私は小泉牧夫。英語表現研究家という肩書で『世にもおもしろい英語』『アダムのリンゴ 歴史から生まれた世にもおもしろい英語』(IBCパブリッシング刊)という本を書いています。2018年4月に 出版社を退職し、41年にわたる編集者生活を終えます。それからは世界中を旅しながら、本や雑誌記事の執筆をする予定。お金はありませんが、時間だけはたっぷりある贅沢な旅と執筆と読書と映画の日々を綴っていきたいと思います。

旅三昧&ときどき読書+映画

私は小泉牧夫。英語表現研究家という肩書で『世にもおもしろい英語』『アダムのリンゴ 歴史から生まれた世にもおもしろい英語」(IBCパブリッシング刊)という本を書いています。2018年4月に出版社を退職し、41年にわたる編集者生活を終えます。それからは世界中を旅しながら、本や雑誌記事の執筆をする予定。お金はありませんが、時間だけはたっぷりある贅沢な旅と執筆と読書と映画の日々を綴っていきたいと思います。

大きなスーツケースを転がしてドーバー城見学

カンタベリーCathedral Gate Hotelでコンチネンタル・ブレクファストを食べ、9時にホテルのすぐ横にある「Canterbury Cathedral」へ。私は長いこと、英国国教会の総本山はロンドンのセント・ポールだとばかり思っていた。しかし実際はここカンタベリーの大聖堂が総本山なのだ。

12世紀にトーマス・ベケットという大司教がいた。ヘンリー2世に気に入られて大法官となったものの、その後仲違いしてしまう。王が「あのいまいましい男を誰かに消してほしいものだ」と呟くと、忖度し過ぎた部下によって殺害されてしまう。

ベケットは死後に聖人となり、数多くの巡礼者がこのカンタベリー大聖堂を訪れるようになった。私が宿泊したホテルも、そのような巡礼者のために15世紀に営業を始めた旅館だった。

大聖堂の中にはベケットが暗殺された部屋や、フランスとの百年戦争で活躍したフランス軍に勝利したエドワード黒太子の墓もあった。黒い鎧を着用していたので黒太子(英語でBlack Prince)と呼ばれ、庶民の間でも人気があったが、王位に就く前に病気で亡くなってしまった。

次に向かったのは「ローマン博物館」。古ローマ時代には、このカンタベリーに多くのローマ人が住み始めていた。その時には今現在より繁栄しており、紀元1世紀から2世紀当時の様子を現在のアーチストが想像して描いた絵も展示されていた。とても不思議なのだが、その後あれだけ多くのローマ人は軍隊の撤退とともに、どこかに姿を消してしまい、街は廃墟のようになってしまう。

カンタベリー・テイルズ」という施設も面白かった。ペスト(黒死病)が蔓延するロンドンからカンタベリーまでの巡礼をしていた一行が、旅の途中でいろいろ奇想天外な話を披露し合うという「カンタベリー物語」。音声ガイドを聞きながら、その物語を追体験できるという趣向だ。

午後1時、カンタベリー・ウエスト駅から列車に乗りドーバーへ。電車を降りた時にはかなり強い雨になっていた。大きなスーツケースを運んでいるので、駅か観光案内所で荷物を預けてドーバー城を見学しようと考えていたのだが、それはちょっと甘かった。タクシーの運転手に聞くと「観光案内所では預かってくれないだろうから、城に行ってチケットカウンターで聞いてみたらどうか」と言う。とにかくタクシーで城に向かう。チケット売り場では、案の定「自分の荷物は自分で責任をもって運んでほしい」と言う。チケットもシニア料金で19ポンド(2850円)。高い!

もう半分やけくそになって、ゴロゴロと大きなスーツケースを転がして坂を昇り、お城を見学する。塔の上に昇ったり、中世に掘られたトンネルに入る時だけは、あまり人目につかないところに置いて、階段を上り下り。

日本が特殊過ぎるのかも知れないが、「おもてなし」の精神はないのだろうか? 例えば日本を訪れた外国人が大きなスーツケースを運んで姫路駅に行き、そこから姫路城に向かう。その時に、その荷物を預かってくれるところがなく、姫路城の天守の上まで大きな荷物を背負って昇るだろうか? たとえてみれば、私がやっているのはそういうことだ。日本なら観光客の利便を考えて、駅にもお城にも荷物預かり場を設置するだろう。

お城のチケットカウンターに戻り、「駅までどうやって戻ったらいいのか」聞くと、「タクシーがいい」と言い、電話で呼んでくれた。電話代と手数料だけもお金を払おうとしたが「いらない」と言う。何だ、とても親切じゃないか!

ドーバーの駅からアシュフォードという駅で乗り代えて、今日のホテルがあるヘイスティングに向かう。

このアシュフォード駅は、正式名称が「アシュフォード・インターナショナル」。なかなか立派な駅だった。近くに大きな「国際空港でもあるのだろうか?」と不思議に思い地図を見たら、ロンドンとパリを結ぶ「ユーロ・スター」がこの駅で停車した後、かの「ユーロ・トンネル」に入るということがわかる。そうか! ユーロ・トンネルはドーバーから潜っているんじゃなかったんだ。