旅三昧&ときどき読書+映画

私は小泉牧夫。英語表現研究家という肩書で『世にもおもしろい英語』『アダムのリンゴ 歴史から生まれた世にもおもしろい英語』(IBCパブリッシング刊)という本を書いています。2018年4月に 出版社を退職し、41年にわたる編集者生活を終えました。いま世界中を旅しながら、本や雑誌記事の執筆とともに、旅先ではこのブログを書いています。お金はありませんが、時間だけはたっぷりある贅沢な旅と執筆と読書と映画の日々を綴っていきたいと思います。

旅三昧&ときどき読書+映画

私は小泉牧夫。英語表現研究家という肩書で『世にもおもしろい英語』『アダムのリンゴ 歴史から生まれた世にもおもしろい英語」(IBCパブリッシング刊)という本を書いています。2018年4月に出版社を退職し、41年にわたる編集者生活を終えます。それからは世界中を旅しながら、本や雑誌記事の執筆をする予定。お金はありませんが、時間だけはたっぷりある贅沢な旅と執筆と読書と映画の日々を綴っていきたいと思います。

楽しいヘルブルン宮殿、そしてサウンド・オブ・ミュージック

618日(火)、ザルツブルグ旧市内は、昨日1日でだいぶわかってきた。 朝、ホテルの部屋で昨日買っておいたバンを齧り、郊外にあるヘルブルン宮殿へ。駅構内にある観光案内所で「ヘルブルン宮殿に行くのバスは何番から出るのか?」、そして「ザルツブルグカードを使えるか?」聞くと、25番のバスでプラットフォームBから出ること、カードは使用できると教えてくれた。

ちょうど25番のバスが停まっていた。運転手に「Do you go to Schloss Hellbrunn?」と聞くと、「Yes」と言う。Schloss(シュロス)とは城のことだ。市街地を抜けて、緑濃い田舎風景の中をバスは走る。30分で宮殿に到着。

 

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地球の歩き方』には、「このお城は1615年にマルクス・ジティタスという大司教が夏の離宮として建てたもので、庭園には水のいろいろな水の仕掛けがあって楽しい」と書いてある。

パスを見せてチケットをもらう。まず1045分から庭園のガイドツアーに参加して、その後でお城に入れるという。「fountain tour」(噴水ツアー)という看板があるところで待っていると、すぐに30人ほどの人で一杯になった。入口から一人一人中に入ると女性ガイドが、ドイツ語で英語で説明を始めた。池の横を通って、石でできたテーブルと8つの椅子がある場所に来る。6人が椅子に座らされるが、その椅子の真ん中には穴が開いている。「それでは行きますよ!」と言うと、その穴から水が噴き出す。ちょうどウオシュレットのように。ズボンの尻のところがびしょびしょになる。次に、テーブルにあるたくさんの穴からも水が噴き出し、今度は頭の上から水を浴びてびしょ濡れになり、みんな大騒ぎ。

このような仕掛けがあちこちにあり、みんな急に水がかかると悲鳴を上げて喜ぶ。水力を使ってたくさんんの人形が動く仕掛けもあった。どれもみなサイフォンの原理を応用していると言う。金沢の兼六園にも噴水があり、それも同じくサイフォンの原理で水が吹き上がることを思い出す。

いつどこから水が噴き出すかわかならい、みんなキャーキャー言いながら逃げ回る。この時期に来て良かった。暑いので、服が濡れてもすぐに乾いてしまう。

 

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40分ほどのガイド・ツアーが終わると、きれいに整備された庭園を抜けてお城に入る。日本語のオーディヲガイドを借りて場内を見学。水が噴き出す仕組みの解説の他、この宮殿をつくった司教の肖像も展示されていた。面白かったのは、架空の動物を描いた絵が展示されている部屋だ。中央には一角獣のユニコーンの像もあった。

外に出て、広大な敷地を散策。15分ほど歩いて、映画「サウンド・オブ・ミュージック」にも登場したパビリオン「ガラスの家」に行き写真を撮る。「もうすぐ17歳」を長女とこの恋人が歌ったところだ。この映画はザルツブルグやその近郊で撮影された。

 

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いろいろなシーンを鮮明に覚えているのは、私が去年柏駅ビルにある「キネ旬シアター」でこの映画を観たばかりだからだ。この映画館は、懐かしの名画だけでなく、評判になった新作映画も何か月か遅れて上映してくれる。「グリーン・ブック」も封切から3~4か月経ってから上映していた。団塊の世代の人たちを中心に、退職した人たちがたくさん見に来ている。

ヘルブルン宮殿の庭園はかなり広い。地図を見ると、山の中腹に「Folklore Museum」という建物があったので、 そこに行ってみることにした。急坂を昇ること30分。小さな館にたどり着いた。ここでもザルツブルグ・パスが使えた。中にはこの地域の衣装や調度品などが展示されていた。ベッドも2つあったので、受付の人に「ここには人が住んでいたんですか?」と聞いたら「ここは狩猟のために使っていた部屋で、ベッドは後から持ち込んだものです」と言う。

坂を下って平らな場所に出る。どこまでも続く濃い緑の芝生を眺めながらベンチに座っていると、本当にここに来て良かったと思う。今日1日中ここにいてもいいのではないかと思ったほどだ。しかし、パスの期限は明日午前11時まで。5000円分を取り戻さなければ。

少しのんびりし過ぎたようだ。朝はパンを少しミネラル・ウォーターで流し込んだだけなので、お腹がすいてきた。宮殿前に戻ってカフェーでランチを当食べる。14ユーロ。まあ仕方ない。

午後2時半、バス停に戻り25番のバスでまたザルツブルグ方面に戻る。来た時には旧市街のすぐ横の道を通った。ここは一方通行の道路で、帰りは橋の向こう側を走るらしい。旧市街に入る手前のバス停で降り、昨日休みだったザルツブルグ美術館に向かって歩く。

15分歩いても着かない。やはり橋の向こう側でも、もっと先のバス停で降りた方がはるかに近かった。ザルツブルグ博物館の入口は、やはり今日もわからない。ちゃんと場所がわからないと、また周囲を1周してしまい無駄な時間を使ってしまうと思ったので、同じ建物にある洋服店で聞くと「この先を建物に沿って右に廻り、またすぐ右です」と親切に教えてくれる。行ってみると「Museum」という表示があり、その門を入ると中庭があった。ここは昨日は閉まっていた。突き当りが美術館の入口になっていた。これではわからい。

急ぎ足で絵画や他の展示を見る。面白かったのは、音楽の都らしい楽器に関する展示だった。昔の楽器を映像で紹介している。その中でもびっくりしたのが、トランペットの音を出す弦楽器だった。板1枚に弦も1本。目を閉じて聞いて見ると、本当のトランペットの音のようだ。

サウンド・オブ・ミュージック」の音楽に合わせた操り人形の映像もあり、じっくり見入ってしまった。このひとつの映画から、たくさんの名曲が誕生している。TVか何かで見たのだが、中尾ミエと伊藤ゆかりだったかな? 「My favorite thingis」(私のすきなもの)の替え歌がを歌っていた。年老いた女性が好きそうなものが次から次に出てくる。うろ覚えだが、「若い男」とか「熱い昆布茶」とか「糠味噌につけたたくあん」とか、いかにも老人が好みそうなものが並らんでいておかしかった。

隣の小さな「パノラマ博物館」も見学すると4時半になっていた。旧市街のほとんど真ん中にある「モーツアルトの生家」を短時間でさっと見て、次は「サウンド・オブ・ミュージック記念館」に。午後6時まで空いていると言う。1階はこの映画の関連グッズを売るショップになっていて、2階に展示があった。この映画の話が、どこまで本当で、そこまでがフィクションなのか私はよくわかっていない、日本に帰ったらじっくり調べてみよう。ただ、家族のコーラスグループがいて、アメリカに亡命したことは確からしい。最初は、アメリカ公演のためにか月だけ滞在するはずだったが、あちこちで大人気となり、そのままアメリカに住み続けることになったのだと言う。

兄弟姉妹の3人だけが存命だと言う。アメリカ・バーモント州の田舎に、その名も「トラップ・ビレッジ」というホテルを所有し営業している。バーモントは自然豊かで、アメリカで私の一番好きな州だ。ぜひ、何年か後には行って泊まってみたい。

映画の最後、ナチの兵隊たちの前で歌うシーンがあった。その会場が記念館からすぐのところにあった。日本語で「祝祭劇場」と言い、ザルツブルグ音楽祭の主会場となっている。この時にトラップ大佐が歌ったのが「エーデルワイス」。この花はスイスの国花、「自由への憧れ」を表現した歌で、ナチへの抵抗を暗示していた。会場のナチの将校たちが皆慌てた顔をするのはそのためだ。

 

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音楽会から家族全員が脱出して、落ち合った墓地が、その会場の先にあった。そこで写真を撮って、のんびりとホテルに帰った。

 

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