旅三昧&ときどき読書+映画

私は小泉牧夫。英語表現研究家という肩書で『世にもおもしろい英語』『アダムのリンゴ 歴史から生まれた世にもおもしろい英語』(IBCパブリッシング刊)という本を書いています。2018年4月に 出版社を退職し、41年にわたる編集者生活を終えました。いま世界中を旅しながら、本や雑誌記事の執筆とともに、旅先ではこのブログを書いています。お金はありませんが、時間だけはたっぷりある贅沢な旅と執筆と読書と映画の日々を綴っていきたいと思います。

旅三昧&ときどき読書+映画

私は小泉牧夫。英語表現研究家という肩書で『世にもおもしろい英語』『アダムのリンゴ 歴史から生まれた世にもおもしろい英語」(IBCパブリッシング刊)という本を書いています。2018年4月に出版社を退職し、41年にわたる編集者生活を終えます。それからは世界中を旅しながら、本や雑誌記事の執筆をする予定。お金はありませんが、時間だけはたっぷりある贅沢な旅と執筆と読書と映画の日々を綴っていきたいと思います。

ヴォルフガング湖の遊覧船と山岳鉄道

 619日(水)、今日はザルツブルグからもっと山の方に入り、ウォルフガング湖方面を訪ねることにした。日帰りの旅。バスで湖畔のザンクト・ギルゲンという村に行き、遊覧船に乗って対岸のザンクト・ウォルフガングという村へ行く。そこには山岳鉄道がある。山の頂上まで往復し、またバスでギルゲンを経由してザルツブルグに戻る……というプランを立てた。

ただ、バスにしても船にしても山岳鉄道にしても、乗るたびに料金を払うのがいいのか、周遊券のようなパスを買った方が安いのかよくわからない。ここまで遠出をすると、市内で有効のザルツブルグ・カードも使えない。Hop on Hop offというバスの周遊券をミラベル庭園の向かいのバスステーションで買えるらしいが、船や山岳鉄道もセットになったパスはないのだろうか? とにかく少しでも安く旅をしたい。

駅構内の観光案内所で聞くが、どうも要領を得ない。Hop on Hop offのパンフレットを渡されて「これで確認してください」と言う。

しかたなしに、ミラベル庭園の方向に向かって歩きながらそのパンフを見ていたら、何と「BUSBOAT=46ユーロ」とあるではないか! おまけにバスの時刻表もある。観光案内所のスタッフならそのくらいのことは知っていて、親切に教えてくれてもいいじゃないか。海外では日本と違って、自分の管轄外のことは全く知らない人が多い。もし自分の管轄外のことを教えて間違っていたら、自分の責任になると思っているのではないか?

Hop on Hop offのバスステーションでバスと遊覧船のセット券を購入。券と言ってもペラペラの紙だ。ここにバスが来るのだろうと思ったら、道路の反対側前方を指さして「緑のテントがあるだろう。あの先にバスステーションがある。1020分に黄色いバスが来るから、それに乗るように」と言う。

行ってみると、市内を走る路線バスの停留所があった。そこにバスは来るのだろうか? チケット販売所がそこにもあったので、「あの停留所でいいのか」と聞くと、「違う。内側のこの広場にバスは入って来るから、そこで待て」という。内側? 広場? 石畳の歩道がちょっとだけ広くなっているこのスペースが広場なのか? ここは人が歩く歩道ではないか? こんなところに大きなバスが入ってくるのか? 日本人的感覚では、ちょっと理解不能

だが、大きな黄色いバスが本当にそこに入ってきた。他にも10人ほどの人が乗り込む。ここからザンクト・ギルゲンを往復するのが「グリーンライン」、湖の奥のザンクト・ヴォルグガングとギルゲンを往復するのが「レッド・ライン」となっている。

運転手にパスだというペラペラの紙を見せ、イヤフォンを受け取って少し後ろの席に座る。日本語はチャンネル8。バスが走り出すと、その通りや通過する村の解説が流れる。もちろん次に停まる村の名前も言ってくれるので安心だ。

1時間ほどでザンクト・ギルゲンに到着。バス停の横にはゲーブルカーの駅があった。どんどん人を乗せて山の上に上がっていく。まずは船の時間を確認しよう。十分に時間があったら、朝食を食べてケーブルカーにも乗れる。

船着き場に行くと、次の船は12時ちょうどだということがわかった。後45分ある。ケーブルカーは帰りにこの村に寄った時に、次のバスを待てば1時間の間隔があるので、その時に乗ろう。近くには「モーツアルト・ハウス」もある。そこに寄れるかもしれない。ザルツブルグ周辺にはたくさんのモーツアルト・ハウスがある。ここは奥さんの生家だと『地球の歩き方』には書いてあった。

船着き場の窓口で船のチケットを買う。横にレストランがあったが、ここは高そうだったので、少し離れたところで朝食を取ろうと歩いてバス停の方向に戻る。でも、全部閉まっていた。見ると11時半からになっている。それでは船に間に合わない。

しかたなしに、また船着き場に戻り、たった一軒だけやっているレストランに入る。もう11時半。船の時間まで30分きりない。ウエイトレスに「I have still 30 minutes」(まだ30分時間があります)と言うと全てわかってもらえたようで、「スープならすぐに出せます」というので、パンとコーヒーと一緒に注文。周りで食事をする人たちもみんな船に乗るのだろうか?

スープをパンと一緒に飲みながら、さっきの窓口で山岳鉄道のチケットも買えるのかもしれないと思った。食べ終えて、すぐにチケット売り場に行き尋ねたら「山岳鉄道のチケットも買える」という。私は「さっき船のチケットも買ってしまいました。セットで買えたんですよね」と聞くと、「船が片道のセット券は売っていない」と言う。

船は12時ちょうどに出港した。やはり日本の湖や山の景色とは違う。何か本格的!という感じ。2階のデッキで景色を見ていた。5分ほどで対岸に。最初に寄る船着き場だ。ここにはこじんまりしたホテルらしき木造の建物があった。何と船の横を泳いでいる人がいた。ゆっくり水を掻いているがかなり速い。腕に覚えがある人なのだろう。

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船がまた走り始めると雨が降ってきたので、下の階に降りる。天気雨だ。その後、3か所に寄った。私が降りるのはザンクト・ヴォルフガングというところ。もうそろそろだろうか? 女性スタッフに聞くと「2つ目だ」と言う。念のためiPhoneマップで見ると、山岳鉄道らしき線がすぐ近くのようだ。

次の船着き場に着いた時、たくさんの人たちが下船を始めた。私がその女性に「山岳鉄道に乗るんですが」と言うと、ちょっと慌てたように「だったら、ここです」と言う。山岳鉄道に乗るにはザンクト・ヴォルグガングの村まで行くものだと思っていたが、その前で降りなければいけなかったのだ。

岳鉄道の駅は目の前だった。10分ほどすると、赤い電車が上から降りてきたので乗り込む。隣に座った人たちが日本語をしゃべっていたので挨拶する。みなさん沖縄から来ていて、音楽好きのグループなのだという。ウィーンに住んでいた人を団長として10人で旅をしていると言う。「ここまでどうやって来られたんですか?」と聞くと、「ドイツ語ができる団長さんが車を運転して旅をしているんです」と言う。

 

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岳鉄道はゆっくりと高度を上げていく。白い雪を頂いた山並みの下に青い湖が見える。これまで荘厳な景色は日本ではなかなかお目にかかれない。その時、私は大変なミスに気づいた。ザルツブルグで買ったチケットは「BUS+BOAT」で46ユーロなっていた。ところが船のチケット買ってしまったではないか! 買う必要などなかったんだ。

船の料金はいくらだったんだろうか? 大変な無駄をしてしまったのではないか! バックパックからレシートを出して見ると「6ユーロ」となっていた。800円ほどだが、瞬間的に勘違いしてしまったことで、最悪の気分になってしまった。車窓には荘厳なほど美しい景色が広がるのに、なんていうことだろう!

40分ほどで山頂駅に到着。ここで30ほど過ごして、下りの電車に乗ることにする頂。頂上駅の上にレストランらしき建物が見える。10分ほど急斜面を昇ると、そこにたどり着いた。その裏側は崖になっていて、木で造った塀がある。向こうを覗き込むと、さらに険しい山々の間にまたいくつか湖が見える。

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レストランでアイスクリームを食べていると後5分で下りの電車の時間。慌ててく急斜面を駆け降り、ぎりぎりで電車に乗り込んだ。

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麓の駅で、Hop on Hop offのレッドラインのバスを待つ。もう行列ができている。30分ほどでバスが来た。他の路線バスを待っている人もいるようだ。その人たちを尻目に乗り込んだ。このHop onバスにして良かった。

30分ほどでザンクト・ギルゲンに到着。山岳鉄道の山頂駅で、あんな景色を見てしまったら、もうこの村のケーブルカーに乗る必要はない。下から上がってきた、グリーンラインのバスに乗ってザルツブルグに戻った。